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五条坂風景
たそがれの光に浮かび出た京都の古い家並みを線と面だけで構成した。坂の上の家々が、空に切りこむようにそびえ、手前に大きな家が黒々とあった。シミの浮き出た古い家の壁が、西日をうけて微妙に変化するさまを描きたかったという。
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踊子
バレーを習っている女性をモデルにデッサンしているうち、小さい時からのあこがれだったサーカスの女性を思い出した。幼い頃、サーカスの女の子は、酢を飲まされて体を柔らかくし、無理やり難しい技を教えこまれると聞いたことがあった。以来、「可哀相だから僕が助けてやるんだ」と勝手に思いこんでいた。モデルを見ていて、ふとそのことを思い出した。彼女を描きながら、サーカスの踊子のもつ命のはかなさや美しさが描きたかった。
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