熊野大社前にある郷土文化会館には、大正から昭和初期頃の民具や郷土が生んだ画家の作品、そして、村の有形文化財に指定されている小林二代幸八の木地師道具などが展示してあります。館内を見て回ると、派手な掛け軸や珍しい轆轤道具などに目が行ってしまいますが、これだけは是非見て帰って欲しい民具を紹介します。それは、何処にでもある草刈り鎌とお茶碗です。
草刈り鎌は何十、何百回も研いでは使い、研いでは使いを繰り返したため、刃部が究極まで薄くなり、原型がどんな鎌だったのかわからなくなっています。また、お茶碗は粉々に割れたものが接着剤で接合して使われています。
使い捨ての時代に育った私としては、「新しいものを買えばいいのに」と考えてしまいますが、如何に昔の人々がものを大切にしていたのかがわかる資料です。この他に展示されている民具も、実際に村内で使われていたごくごく平凡なものばかりです。
一見すると古びて埃にまみれたものかもしれませんが、八雲村の伝統文化の本質を示すものであり、本村の歴史を考える上で欠くことのできない文化財です。
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